介護施設管理者に必要なマネジメント力「職員管理」

介護施設の模型を手に持つ人

あなたが介護施設現場のトップに立ったなら、利用者様を第一に考えた施設の理念を実現すべく、日々の施設運営に励んでいくことになります。

施設管理者にとって介護職員たちは、介護サービスの最前線で活躍する頼もしい存在。ともに働く仲間として、サービスの維持向上に向けて手を携え、施設を利用者様にとってより快適な場所へと育てていかねばなりません。

介護職の需要が高まり続ける中、慢性的な人手不足に悩まされる昨今。どのようにすれば介護職の担い手を増やすことができるのか、そして現在働いている職員たちの意欲を引き出せるのか。それは管理者であるあなたの手腕にかかっていると言えます。

施設管理の現場であなたに求められるマネジメント能力、今回は「職員管理」についてご紹介します。

ともに働く仲間を集める

介護業界における人手不足が叫ばれて久しく、その状況は依然として続いています。介護の仕事に対しては「仕事がきつい」「給与が安い」といったイメージが先行しています。離職率も高い業界であると思われがちです。

実際には介護職の離職率は他の職種と比べ、特段高いわけではありません。ただ、1年未満での離職者が多いことは事実。

身体接触をともなう介護の現場では、とくに「ミスマッチ」や「リアリティショック」の可能性は高まります。その対策として、施設見学会や内定後研修、育成プログラムを実施し、求職者の不安や疑問を事前に解消してあげましょう。

新しい人材を受け入れる体制や、定着して仕事を続けられる環境が整っていることを示し、自らが成長していける職場であると感じてもらわねばなりません。

職員が安心して入職でき、「やりがいのある職場」をつくることができれば、早期退職者は減らせるはずです。

仲間の声を聞き洩らさない

会話する介護職員たち

介護労働者の意識調査(※1)では、介護職を選んだ理由について約半数の人が「働きがいのある仕事だと思ったから」と答えています。「人や社会の役に立ちたいから」「今後もニーズが高まる仕事だから」「お年寄りが好きだから」といった理由も大きな割合を占めています。

「社会に貢献したい」「人の役に立ちたい」という想いをもって働き始めた職員たちが、もし理想を実現できずに悩んでいるとしたら、そんな時こそあなたの職員管理能力が試される場面です。

定期的な介護記録の提出や、報告を義務づけていても、職員たちの本音をすくい上げることは難しいもの。

「この時間内で適切なサービス提供はできない」「あの先輩のやり方に従うのは納得ができない」……といった現場の生の声を聞くためには、あなたの方から職員たちに声をかけることが必須です。

日頃からの細かい声かけによって、職員たちが話しやすい雰囲気をつくりましょう。そのうえで、ケアプランを見直したり、配置を変えたり、適切な対応を重ねることで、「聞く耳をもつ上司」となってください。

明確なビジョンと経営方針を示します。そのために改善すべき点は改め、ともにより良い施設づくりを目指せる管理者だと感じてもらえば、職員たちの「働きがい・理想」は維持できます。

※1 介護労働の現状について 平成30年度 介護労働実態調査の結果と特徴

職員たちとチームを組む

介護職の退職理由

介護職から離れてしまった方の理由は様々ですが、主な理由は以下のようなもの。職場で起こりやすい問題を把握し、対策を講じておきましょう。

  • 女性が多い職場である
    平均的に女性が職員の7割近くを占める介護業界。比較的グループや派閥が生まれやすい傾向があり、閉鎖的な人間関係につながる例もあるようです。
  • 人手不足である
    人員に余裕のない職場環境ではストレスが溜まりやすく、結果的に利用者様への対応にも影響を与えてしまいます。
  • 休みが少ない
    人手不足とも通じますが、休憩時間や休日が取りにくい職場環境では、充分な休息時間や職員同士のコミュニケーションが失われがちに。その為、疲労やストレスを抱えこむ結果に。
  • 相談できる人がいない
    仕事の悩みやストレスを職員ひとりで抱え込んでしまい、はけ口を失ってしまうケース。味方がいない環境で働きつづけ、精神を病んでしまうことも。

管理者の職員管理

管理者であるあなたは、これらの問題を解決していかねばなりません。

介護現場はチームワークで機能しています。誰かひとりの負担が大きくなってしまうようならば、その体制を見直す必要があります。

「人手不足」「休みが少ない」といった問題には、適切な人員配置やシフト形成など洗い直しを図り、職員の新規採用を積極的に行うといった対策が求められます。

また、「グループや派閥」「孤独感」といった人間関係にまつわる悩みについては、あなたのリーダーシップがより求められる局面です。

チーム編成を見直し新たなグループの力を引き出したり、女性同士の結束力を業務に活かす工夫ができるかもしれません。

そして孤独感に苛まれている職員を支えるのもあなたの役目。相談相手がいないのならば、管理者であるあなたが、真っ先に声を聞いてあげてください。

職員からは「上司が現場のことを知らずに注意してくる」といった類の不満が漏れてくることもあります。仮にこうなってしまってはあなたの「職員管理」は赤信号。職員とのコミュニケーションを図り、風通しの良い職場環境を目指す必要があります。

ここまでの「職員管理」を見て「やることが多く大変そうだ…」と感じましたか?しかし、基本は職員の話に耳を傾け、改善すべき点を見つけ出し、実行すべきかどうかを判断すること。

職員たちが働きやすい施設でなければ、利用者様に快適に過ごしていただくこともできません。そして、利用者様の満足度は、職員たちが活き活きとやりがいをもって働ける職場環境によって高められることを憶えておきましょう。

感謝される仕事

介護の仕事をはじめる方の動機は様々でしょう。あなたは、なぜ介護施設管理者を目指すのでしょうか?

「介護施設で働く労働者のアンケート」と「ヘルパーアンケート」報告集 2014年度版(全国労働組合総連合)内の「介護の仕事をやっていて良かったと思うこと」には、現役介護職員たちの生の声が集められています。

  • チームメンバー全員が目標を共有し、一つになって取り組んだとき
  • 自分の人生の今後について感じることができる、自分を見つめなおすことができ、人として未熟な部分を客観的に知ることができる
  • 利用者さんのお世話をする事で自分も成長できるし、お話することで自分の気持ちにもゆとりができます
  • コミュニケーションがとれたとき
  • 名前を呼んでもらえた時
  • 患者さんのありがとうで一日頑張れる

あなたが管理し作り上げたチームが、利用者様の「ありがとう」を引き出せたとき、より良い施設づくりに取り組んだことが誇らしく思えるはず。利用者様と職員たちの人生と生活に、真正面で向き合う施設管理者の仕事は、あなたにとってかけがえのない職業になるはずです。

参照:全国労働組合総連合  2014年度版 「介護施設で働く労働者のアンケート」と「ヘルパーアンケート」報告集