他業種から介護施設管理者を目指すために必要な能力とは

「これまでとはまったく違う仕事だし…」介護業界への転身を考えているあなたが、新しい挑戦へためらいを覚えるのは当然のことです。しかし、介護の基本は相手と接するなかで喜びや安心感をあたえること。

あなたのこれまでの仕事や人生でも、人を気遣う、人を思いやるといった心がけが豊かな人間関係の構築につながっていたはずです。あなたが持っているあたたかい気持ちを、より深く介護の世界で表現してみてください。

今回は、管理者としてのこころがけや、準備しておきたい「管理者が身につけておくべき5つの管理能力」をご紹介します。

管理者として何をマネジメントするのか?

大きくは「マネジメント力」と称される能力ですが、その管理能力は以下の5項目に分類されます。管理者は施設全体の責任者として、その管理能力を発揮せねばなりません。いわゆる「ヒト・モノ・カネ」全般にわたる管理業務。一つひとつその内容を見ていきましょう。

利用者管理

介護施設のもっとも大きな役割は、施設の利用者様へ提供する介護サービスが適切かつ確実に行われることです。

管理者は、利用者様それぞれの状態を把握しておく必要があります。これまでにかかった病気、現在の症状、薬の副作用やアレルギーに対する治療法や健康状態といった「既往歴」「現病歴」。それを踏まえた上で作成されたケアプラン(介護方針)への理解が必要です。

ケアプランは長期的・短期的な目標を設定し、利用者様の状況が変化する度により良いサービスへと見直していきます。

入居時には、利用者様とそのご家族との面談の場を設け、自分が管理する施設の魅力を伝えましょう。また、さまざまなご事情で退去される際も丁寧なケアを。

職員管理

共に働く仲間を募り、育て、職場環境を整えていくことも求められます。

施設の規模や提供するサービスに応じて、いっしょに成長できる人材を採用。保有資格や各々の能力をかんがみ、適材適所を見極めます。職員が働きがいを感じられるような職場づくりのために、こまめな声かけや面談、アンケートの実施などで現場の状況を把握。不満や問題が生じた際には、ケアプランや人員配置を見直し、最適な環境を目指してください。

運営管理

より良い施設をめざして、施設の運営方針やサービスレベルを策定します。

しかし理想を高くしすぎ、実行できなければ意味はありません。モニタリングをおこない、施設の状態に気を配ります。さらに、遵守すべき法令等に目を配り、行政関係者と適正な関係を保つよう努めることで、運営を円滑に進めていきましょう。

また、施設の魅力を知ってもらうための広報、営業活動や見学者対応に力を注ぐことも忘れないでください。

収支管理

魅力ある理想の施設を目指すと同時に、利益を確保する努力も怠ることはできません。利用者様の確保や経費削減による経営面でのマネジメントも必須です。

利用者様との契約業務、保険請求業務、各種経費の管理。収入となる介護報酬と居住費や食費、日用品に対する費用といったホテルコストを計算。支出となる人件費などをコントロールし、バランスを取りながら健全な経営状態を保たねばなりません。

行政管理

法律に基づいた手続きを踏み、行政機関への届け出を行い、行政側に施設の状況を知ってもらうことも必要です。

施設を運営するうえで、介護保険事業について届け出の内容に変更があった場合、10日以内に行政機関の介護保険担当窓口に変更届を提出。その他介護保険事業者事故報告書、消防計画の作成・提出などが義務づけられています。

行政による「実地指導」と呼ばれるチェックに向けて、また「監査」という形で行政処分につながるような事態は絶対に避けなければいけません。

管理者の人柄が、魅力ある施設をつくる

管理者に求められる能力は多岐にわたります。しかし、もっとも大切なことは、あなたが管理者を務める施設を利用する皆さまに笑顔ですごしていただくこと。先にあげた5つの能力を身につけることは、すべてその笑顔につながっていきます。

あなたが他業種から介護の世界に入ったとき、職員たちはすべて介護業界の先輩です。管理業務をこなしながら、謙虚に介護の知識や技術を身につけていきましょう。

医療、薬、福祉制度、法律といったさまざまな分野の理解を、先輩たちの助けを借りながら深め、利用者様を支えるプロとしての信頼を形作っていってください。

そしてなにより、知識と技術以上にもとめられるのが、困っている人に手を差しのべられる人格です。介護施設のサービスの質は、管理者によって大きく変わるといわれています。魅力ある施設をつくるために、まずあなたが人として公正な発言、行動、態度をこころがけながら業務に取り組んでいきましょう。

管理者を務めるにあたって、介護業界での経験はもちろん有利にはたらきます。しかし、それ以上に他業種での管理職、マネジメント経験が活きる仕事でもあります。あなたもぜひ、異分野でのキャリアが尊ばれる介護施設管理者という仕事にチャレンジしてみてください。