介護施設管理者に必要なマネジメント力~利用者管理~

男性の施設管理者

あなたが初めて介護施設管理者への転職を考えているとき、「利用者様」というこれまで馴染みのない存在にとまどいを覚えていませんか。

しかし、わかりやすく言えば利用者様=お客様。施設をお店と考えれば、あなたは店長としてお客様にサービスを売ることになるのです。その意味でいえば介護は特別な仕事ではありません。利用者様=お客様に、より良いサービスを提供して顧客満足度を高めていく仕事にほかならないからです。

介護の世界で起こる問題は、他の業種、おそらくあなたのこれまでの職場でも起きていることがたくさんあるはず。ただ、少し特別なのはその距離の近さと責任の大きさ。利用者様の健康を保ち、暮らしをサポートする仕事は他のサービス業にはないやりがいに満ちています。

施設管理の現場であなたにもとめられる第一のマネジメント能力は「利用者管理」。今回は、介護現場でもっとも重要な利用者様との関係づくりについて、ご紹介します。

利用者様ファーストで考える

お客様である利用者様に対して適切で確実な介護サービスがおこなわれることは、介護施設にもとめられる最大の役割です。「利用者様優先」は当然の前提でなければなりません。

あなたが管理者として向き合うのは、介護サービスを受けられる「利用者様」とその「ご家族」。利用者様ご本人とそのご家族に対して、自らが管理する施設の理念や想いを誠実に伝え、ご利用をうながす面談の場から、利用者管理の仕事は始まっています。

縁を結び、ご利用が始まれば、現在から過去までの疾患を把握し、その既往歴・現病歴からケアプラン(介護方針)を作成。薬の副作用やアレルギーなどの体質を確認したのち、利用者様の状態の変化に合わせて、ケアプランを見直していきます。

利用者様と、そのご家族にとって「第二のわが家」であるために

車いす

利用者様ご本人はもちろん、大切な肉親をあずけることになるご家族は「介護施設はプロ(の集団)」と考え、離れて暮らしても安心できる環境をもとめて来所されます。あなたは施設を、利用者様にとっての第二のマイホームへと育て上げなければならないのです。

「コーヒーはブラック派なんです」「職場ではたくさんの部下をまとめていました」

ともに暮らしをつむいできたご家族のお話は、ときに利用者様ご本人よりも雄弁に介護に向けてのヒントを与えてくれます。食事や趣味、性格、これまでの人生での出来事…利用者様が施設で生きがいをもって過ごしていただけるように。

「ブラックコーヒーが好きなAさんには、施設内で出すコーヒーの銘柄を選んでもらう」 「管理職経験のあるBさんには、レクリエーションの際のまとめ役を担ってもらう」 過ごしやすさは当然のこと、施設のなかでどれだけ充実した生活を送っていただけるかは、あなたの傾聴力と工夫しだい。ときに「介護はクリエイティブな仕事」といわれる要因はここにあります。

経営が重んじられることは営利組織として当然のことです。しかし、目先の数字だけを追いかけていては満足度が下がり、結果的に収益にもつながらない。 利用者管理とは、数字や効率を追い求めるだけの単純で味気ないものではないのです。

コンビニオーナーだったCさんの転職体験

大手コンビニチェーンのフランチャイズオーナーとして働いていたCさんは、奥様のご病気を機に自身の生き方を変えようと、介護経験ゼロから介護施設管理者に。

「転職サイトを見て管理者に特別な資格がいらないと知り、思いきって介護業界へ。介護への知識不足は、当時の主任にカバーしてもらっていました。専門知識以外の部分では、とまどうことは少なかったです。同じ接客・サービス業ですし。売り上げやスタッフの管理、サービスの向上の必要性、リーダーとしての役割などコンビニ店長の経験が活かせています。 転職から3年経って、ある程度勉強を重ねケアプランへの理解も深まったので、利用者様お一人おひとりのことがより深く見えてきた気がします」

コンビニと介護。お客様=利用者様、との接し方に違いはあるのでしょうか?

「いまや地域によってはコンビニのお客様は若者より、高齢者の割合が高いほどです。毎日お店に来てくれるお年寄りがたくさんいました。店頭で長話したり、セルフコーヒーを入れるのに付き添ったり。自分自身はお年寄りと接するのが上手い方だと思っていました。 ただ、いま振り返るとどれだけのサービスを提供できていたのか…。効率重視で数をさばいていく、その対象としてしか見ていなかったと思います。

きっかけは一緒に働いていた妻の病気でしたけれど、結局自分がコンビニ業界を離れたのは、『こんなお店にしたい!』という当初の想いを忘れ、システム化されたサービスを提供することががむなしくなったからだと思います。

その経験から僕の施設では効率優先なサービスは絶対にせず、その人その人のお顔をしっかりと見て、誠実に向き合うように心がけています。利用者様の人生のクライマックスに立ち会わせてもらっているので、それはやりがいがありますよ。今度こそは、自分の理想の介護施設をつくりあげよう!と思っています」

利用者様の生きがいをつくることがそのままCさんの働きがい、やりがいにつながっている。前職で得た経験を活かし、またその課題を克服することが目標にもなっている。介護業界への転職を機に、新たな人生の指針をみつけられたようです。Cさんの言葉は、転職を考えているあなたにとって心強いメッセージではありませんか。

利用者様の「これから」をつくるために

笑顔の男性施設管理者

利用者管理とは何か?

あなたがこれからマネジメントするのは利用者様の幸せ。管理者の計画や対応しだいで利用者様の人生の質が変わっていくのです。誰かの人生を引き受けるのは責任が重い仕事です。

しかし、あなたの手腕しだいで目の前の人を幸せにできるのならば、これほどやりがいのある仕事はありません。ぜひ一歩踏み出して介護施設管理者をめざしてみてください。