「声かけ」からはじめる働きがいのある職場づくり

こちらを向く介護職員たちどのような職場でも、管理者と職員の関係性を向上させていくことは非常に重要です。

管理者として、職員たちに働きがいを感じてもらえる職場環境を整えることに苦心して「上手くいかないなぁ」と悩んでいないでしょうか?

「働く職員たちの笑顔とやる気あふれる職場をつくる」それは、上司である管理者の力量が問われるポイントのひとつ。

では、職員たちのモチベーションを高めるもっとも基本的で、もっとも有効な手段とはなんでしょうか?

それは「声かけ」。

声をかける。その一見単純な方法が生みだしてくれる効果についてご紹介します。

 

「声かけ」が「学級崩壊」を救う⁉

会話をしている生徒たち

収拾のつかない生徒たちとクラスをまとめられない教師によって授業が成立しない、いわゆる「学級崩壊」の問題が叫ばれはじめて20年以上経ちます。

学級崩壊を引き起こす教師と、クラスを円滑に運営する教師では何が違うのか?

ある検証で双方の教師の授業内容を比べたところ、そこにはほとんど差は見受けられませんでした。ただひとつ異なっていたのは「声かけ」の頻度と範囲。前者の教師がある特定の生徒たちにしか声をかけないのに対して、後者はクラスの全員に何度も声をかけていたのです。

学校の教室には様々な個性を持った生徒たちが集まっています。積極的に教師に話しかけてくる生徒もいれば、発言をまったくしない生徒もいます。その時、教師がうまく声かけのバランスを取らなければ、発言をしない、あるいは発言をしようにも出来ないでいる生徒は「自分の居場所はここにはない」と感じてしまいます。また、教師からかまってもらえると感じた能動的な生徒の声は際限なく大きくなってしまうのです。

授業を成り立たせ、教室内に楽しさとやる気を生みだすために、教師は特定の生徒だけではなくクラスの一人ひとりに目を配り気を配り「声をかける」ことが必要だということが分かります。

「教室」を「職場」に置き換えた時、管理者にも同じ心がけが求められます。

職場内に質の高いコミュニケーションをつくりだすことで、職員たちのモチベーションは高まります。そのコミュニケーションは「声かけ」という手段で実現できるのです。

上司である管理者に積極的に話しかけてくる職員は多くないはず。同時に職員たちはリーダーである管理者からどう見られているか常に気にかけています。

「大丈夫?疲れてる?」

「最近は何か困ってることない?」といった何気ない「声かけ」が管理者からもたらされることで、「私たちの上司はちゃんと見ていてくれるんだ!」という意識を職員たちは持つことができるのです。

「声かけ」の繰り返しによって互いを少しずつでも理解し合える契機が生まれます。また、管理者が積極的に声をかけている職場には職員同士も話しやすい空気が醸成されていくのです。それが職員たちの働くモチベーションにつながり、やがて利用者様の満足度にも結び付いていきます。

声をかけて、声を聞き、実行する

声かけ・ヒアリングする管理者

 管理者は「声かけ」から、しっかり職員たちのことばを「聞く」ことも大切です。

「声かけ」に対しての職員たちの反応を見て、より深い会話が生まれたり、時にはトラブルを未然に防ぐこともできるでしょう。職員たちの「わからないこと」や「不満」をすくいあげられるからです。

この双方向のやりとりが機能すれば質の高いコミュニケーションが生まれます。「わからないこと」や「不満」を放置すると、職員たちのモチベーションは低下してしまいます。少しでも気になることがあれば、なるべく早い段階で言葉にしてもらう。それが問題解決の糸口となるでしょう。

声をかけ、声を引き出し、言葉に耳を傾ける。そこで耳にした不満や要望に真摯に向き合い、実現に向けて動く、あるいはさらに話し合いを続ける。そうすることで職員たちから管理者への信頼感は高まっていきます。

「話を聞いてくれる上司」になるための入り口は、日常の何気ない「声かけ」にあるのです。

感情が行き交う介護の現場

介護の仕事は、利用者様と接する高いコミュニケーション能力が求められる職種です。

自分自身の内面の感情を抑制しながら、利用者様の求めに応じた感情表現をしなければならないことも多いはず。介護や接客のともなうサービス業など人に関与するという要素が大きい労働の形態は『感情労働と呼ばれます。

肉体労働や頭脳労働といった概念はよく知られていますが、感情労働は、自身の感情をコントロールしながら相手にポジティブな働きかけをして報酬を得ていくことになります。

感情のコントロールや表現が不可欠な介護の仕事。利用者様の笑顔を引き出し、その感情に間近で触れるからこそ、やりがいも大きいと言えます。しかし、感情労働者は他の形態の労働者と比べてストレスが回復しにくいといわれます。自身の感情を抑えながら相手に喜んでもらうために働くことで、自分の感情とギャップが生まれストレスにつながっていくのです。

感情労働である介護現場の管理者は、他の職種よりもいっそう職員たちの状況に気を配る必要があります。職場のコミュニケーションを円滑に進め、促すことは感情労働者へのケアの一環でもあるのです。

認めてあげる管理者になろう

手を差し伸べる管理者

生き方、ビジネスの指南書として世界的ベストセラーとなった『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー:著)のコンテンツを組織のリーダーに向けて解説した『原則中心 会社には原則があった!』(ジェームス・スキナー:著)には、「人は王様を見たくない。王様に見てもらいたい。一瞬でも王様にほめてもらうために、人は喜んで自分の命をなげうつものだ」という言葉が紹介されています。

「自分はこの場所に必要とされている」という感覚をもって仕事を進めていくことは働きがいや、やりがいに直結します。自らを認めてもらうことはすべての人の根源的な欲求に他なりません。

管理者としてのあなたの「声かけ」を職員たちは待っているはずです。

あなたの「声かけ」で、厳しいながらもやりがいの大きい介護の現場を、職員たちの笑顔とやる気あふれる職場にしてください!