処遇改善がすすむ介護現場

あなたは介護業界にどんなイメージを抱いていますか?介護は3K「キツい・汚い・危険」の仕事、給与が低い業界というイメージで語られてきました。しかし、その状況は少しずつですが、改善されてきています。

今回は、介護職の給料に着目し、あなたが目指す介護施設管理者と一般介護職との収入の違い、これからの社会に欠かせない分野として国主導ですすむ処遇改善策についても見ていきます。

自分が飛びこもうとする業界の現状はどうなっているのか、まずは介護業界の今を知ることから始めましょう。

介護職の給与水準は?

NCUU(日本介護クラフトユニオン)が発表した「就業意識実態調査」※3によると、月給制で働く介護職員全体の2019年の平均年収は359.8万円でした。

ここでいう平均年収とは、基本給+ボーナス+各種手当などの総額で、税金や保険料が引かれる前の額面の数字で手取り額ではなく、各種手当には残業代や夜勤手当など月ごとに変動するものも含まれています。

介護施設管理者の給与は?

では、あなたが目指す介護施設管理者の平均年収はどうでしょうか。

施設管理者の平均年収

  • 訪問系(居宅サービス)介護の管理者・1万円
  • 入所系(老人ホームなど)介護の管理者・486万円
  • 通所系(デイサービスなど)介護の管理者・5万円

介護職員全体の平均給与を大きく上回っており、「今の賃金に満足していますか」という設問に対してもおおむね4割の管理者が「満足している」「まあまあ満足している」と回答しています。

なかでも特別養護老人ホームなど入所系介護施設の管理者は、これまでの管理職経験が強みになります。管理職で部下をまとめてきた実績がある人ならば月給40万円近い求人も。

デイサービスのような通所系介護施設の場合は、介護経験や年齢が不問のケースが多いですが、月給は平均を下回る場合もあるようです。ただし、入所型の施設とは違って残業が少ないメリットがありますし、マネジメント経験がなくても接客業やサービス業経験者なら、利用者様への対応で、その経験を活かせるでしょう。

処遇改善がすすむ介護現場

年々改善されてきてはいますが、介護職員の平均年収である359.8万円は、全産業の平均年収436万円※4と比べるとかなり低い水準です。

しかし社会の高齢化は待ってはくれません。介護職員の需要は増え続けています。団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年には、34万人の人手不足が生じるとの予測もあるのです。

これまで後手後手に回っていた国も、ようやく介護現場の処遇改善に重い腰を上げはじめ、以下のような施策を講じています。

介護職員等特定処遇改善加算

介護職員への研修の実施や、昇給の基準の仕組みを制定する等の「キャリアパス要件」と、ICT化や正規雇用を推進する等の「職場環境等要件」をクリアした事業所には報酬が加算される「介護職員処遇改善加算」は2012年から運用されています。

2019年10月からはさらに上乗せ支給される制度「介護職員等特定処遇改善加算」もスタート。加算を取得した事業所は相当する賃金改善を実施することになっています。

有給休暇取得義務

人材不足を理由に、有休休暇が取りにくいとされる介護現場ですが、2019年4月に施行された「有給休暇5日取得義務」によって、発生日から1年の間に最低5日間の有給休暇を介護職員に取得させなかった事業所には罰則が科せられることになりました。事業者は、正規雇用を増やし、仕事量を分散させるなどの対策を講じています。

介護職就職支援金貸付事業

これは2021年4月から実施予定で、介護未経験者が福祉分野に就職すると20万円の支援金を支給するという制度。「貸付」という形ではありますが、2年間介護現場で働くなどの条件を満たせば返済は免除されます。

このほかにも、資格を持ちながら介護業界で職に就いていない人を対象にした「再就職準備金貸付事業」や、介護職を身近に感じてもらうことを目指した「介護のしごと魅力発信等事業」など。

介護業界の慢性的な人手不足を解消するための取り組みや新制度が次々に誕生しています。近い将来、あなたが目指す介護施設管理者も含めた介護職員全体の給与や待遇は、より働きがいのある環境へと整備がすすめられています。

転職者を迎え入れてくれる場所

介護の世界は、あなたの人生経験が活かせる職場。事実、介護業界に新卒で入った人は少なく、全体の78.2%の人が「前職あり」※5

多くが、学校卒業後、収入をともなう仕事を経験したのちに介護業界に入っています。また前職の内訳を見ても「介護・福祉・医療関係以外の仕事」をしていた人が63.4%と高い割合になっています。

人材を採用する事業者の側も中途採用に積極的。正規職員を採用する際に「介護資格や介護経験の有無にこだわらないようにしている」(46.8%)、「新規学卒者や若手にこだわらないようにしている」(37.8%)と回答しています。

この数字は入所型の介護施設事業所ではさらに増え、68.1%が資格や経験にこだわらず、57.6%が新卒であることや年齢を気にしないと回答しています。

このデータは、転職をして介護施設管理者を目指すあなたにとって心強い数字ではないでしょうか。

そのうえで、事業者全体の63.5%が正規職員に対する「教育・研修計画を立てている」と回答。異業種での経験や人柄重視で採用したのち、仕事を続けながら成長をうながしてくれる場所と言えます。

経験を武器に、介護の世界へ

あなたが転職を考えた動機はなんですか?「職場の人間関係に疲れた」「自分の明るい将来が見えない」など、心機一転まったく違う業界で一歩を踏み出してみたい、というあなたの想いを介護業界は受け止めてくれるでしょう。

この先ますます欠かせなくなる介護の仕事は、あなたに人と触れ合うことのあたたかみや、人の笑顔を生みだす喜びを与えてくれるはずです。

介護の経験が無くても、資格をもつ介護職員よりも多くの収入を得られる。これは管理者として施設全体、職員や利用者様をマネジメントしていくことが期待され、要求されることから生じる厚遇といえます。間口は広く、奥が深い仕事、それが介護です。

これまで培ったあなたの経験や能力を存分に発揮して、介護施設管理者への転職をぜひ成功させてください。

参照リンク

  1. 介護労働安定センター「令和元年度・事業所における介護労働実態調査」
    http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2020r02_chousa_jigyousho_chousahyou.pdf
  2. 厚生労働省「平成30年雇用動向調査結果の概要」
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/index.html
  3. UAゼンセン日本介護クラフトユニオン「2020年度就業意識実態調査」
    https://nccu.meclib.jp/2020shuugyouisiki/book/#target/page_no=1
  4. 国税庁「令和元年分・民間給与実態統計調査」
    https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2019.htm#a-01
  5. 介護労働安定センター「令和元年度・介護労働者の就業実態と就業意識調査」
    http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2020r02_chousa_roudousha_chousahyou.pdf