介護施設管理者として理想のリーダーになるためのヒント

管理者と部下のイメージ

これから介護施設管理者として、たくさんのスタッフたちの先頭に立つことになるあなた。あなたは施設のリーダーとしてチームを牽引していかねばなりません。

「介護施設ではどんなリーダーシップが求められるのだろう?」と不安を覚えているかも知れません。しかし、多くのスタッフをまとめ、一丸となって理想のゴールを目指していくことは、どの職種や業界でも変わらないものです。

施設の運営や、利用者様・スタッフたちをマネジメントするとともに、お互いを高めていける仲間を育て、リーダーシップを発揮することが管理者には求められます。

今回はあなたが、異業種で培った経験を武器に、介護業界でも活躍してもらうために、施設を率いるリーダーシップの磨き方をご紹介します。

リーダーシップとは

「リーダーシップ」とは、チームで掲げた目標に向かって、スタッフのやる気を維持しながら、チームをまとめ成果を上げていく能力のこと。会社や組織においては、マネジメント職に求められる欠かせない力です。

日本を代表するビジネスパーソンである本田宗一郎は、人の上に立つ姿勢をこのように語っています。

「人を動かすことのできる人は、他人の気持ちになれる人である。その代わり、他人の気持ちになれる人というのは自分が悩む。自分が悩んだことのない人は、まず人を動かすことはできない」

リーダーとはトップダウンで指示を与え、人を意のままに動かすような独善的な人物ではなく、スタッフたちの意を汲み、ともに理想に向かって歩むために「他人の気持ちになれる人」のこと。スタッフたちの悩みに寄り添い、利用者様やご家族の想いを叶え、より良い施設づくりを担うリーダーを目指してください。

リーダーシップは、特定の資質を持つ人に先天的に備わっていると思われがちですが、実際は着実に身に付けていくことのできる能力です。これまでの仕事でチームを束ねてきたことのある方はその経験を活かしながら、そうした経験が乏しい方も施設管理者をつとめながら、能力を開花させていくことはできるのです。

リーダーシップとマネジメントの違いとは

施設の人材と管理者のイメージ

リーダーシップと混同されがちなマネジメント能力ですが、その違いはどこにあるのでしょうか。

マネジメントは、「掲げた目標を達成するために、必要な計画や手順を作り、集団での活動を円滑にすすめる能力」であるのに対し、リーダーシップは、「掲げた目標を達成するために、明確なビジョンを示し、仲間を導いていく能力」といえるでしょう。

理想の介護施設をつくるという目標のためには、どちらも欠かせない能力です。マネジメントはより短期的で現実的な対応力が求められ、リーダーシップは中長期的な視点で、未来志向のビジョンを指し示す必要があります。管理者は、リーダーシップとマネジメント力を車の両輪のように同時に発揮し、目標に向かっていきます。

リーダーに求められるもの

それでは、リーダーにはどのような要素が求められるのでしょうか。

国や大企業のトップに立つような指導者には、強いカリスマ性や高い行動力で部下をまとめ上げ、ぐいぐいと牽引していくようなリーダーシップが求められます。しかし、介護施設の場合はチームを上手に統率していくコミュニケーション能力の方が重要です。

「上から指示を与えて部下を動かす」のではなく、むしろ「下からスタッフたちを支える」ようなスタイルのリーダーシップを目指しましょう。

ビジョンを描き、伝える

あなたが目指す理想の介護施設の目標を掲げ、「こんな施設をつくりたい!」というビジョンを示し、スタッフたちに分かりやすく伝えましょう。利用者様が過ごしやすい介護施設とはどのような場所なのか、そのために職員はどう動けばよいのかというメッセージを仲間に理解してもらい、ともに歩んでいきましょう。

働きやすい環境をつくる

目標に向かって成果を上げていくためには、やりがいを持って仕事に励んでもらう仕事場の環境づくりも大切です。そのためには、スタッフと頻繁にコミュニケーションを図り現場の声を聞き、ポジティブな言葉で仲間たちの働きがいを生みだしていきましょう。

コミュニケーションの質を高めることで、現場で起こっている問題点やそれぞれの悩みごとにもいち早く気付けるはずです。あなたがスタッフたちの気持ちに寄りそって働きやすい環境をつくることは、そのまま利用者様の施設への満足度につながっていきます。

意志をもって決断する

コミュニケーションが「聞く力」であるなら、同時にリーダーには「示す力」も必要となります。利用者様やスタッフたちの意見や要望をしっかり聞き、受け止めたうえで、最終的にはリーダーとして決断し、行動に移さねばなりません。

スタッフの配置替えや利用者様への接し方の改善など、小さな決断の連続が、思い描いている理想の介護施設という大きなビジョンの実現へのステップとなります。仲間たちと共有している目標へ向けての、正しい決断ができるリーダーを目指しましょう。

リーダーシップの磨き方

リーダーシップは特別な資質を持つ人間だけが持ち得る能力ではありません。ここでは日頃の行動を意識することで身に付けていける、リーダーシップの磨き方をご紹介します。

ブレずに決定する

口先だけで行動が伴わないリーダーは信頼してもらえません。コミュニケーションは大切ですが、周囲に流されず、自分の意思をしっかり持ち決定する。最終的にはその決断に責任を持てるようにしましょう。

日常の暮らしのなかにも、その日の服装や食事のメニューなど小さな決断をする場面は多くあります。決断力を鍛えるコツは自分の決定に後悔をしないことです。常に自分の考えを持ち、前向きに目の前のものごとを決断していくクセを身に付けてください。

仲間を信じて、公正な目をもつ

ひとりで仕事を抱えこまず、信頼できる仲間へ積極的に仕事をあずけることもリーダーには必要になります。あなたが信頼を託せば、スタッフたちもその気持ちを返してくれるはずです。

そのためには、常にスタッフたちを公平に評価するよう心がけましょう。

「他者から認められたい」という承認欲求は誰でも持っているもの。同じように仕事をしているのに自分だけは評価されていない…と思わせてしまえば、仕事へのモチベーションは下がってしまいます。

頑張れば正しく評価してもらえ、仕事を任せてもらえるのだと感じてもらえるような信頼関係を築くことが大切です。

日頃から偏見や思い込みを捨て、フラットにものごとを捉え、公平に評価する視点を持って過ごしてみてください。

旧来の組織論では、目標達成のために必要な要素として、強いリーダーシップばかりが強調されてきました。しかし近年では、リーダーを支援するフォロワー(部下やリーダーを補佐する人)による「フォロワーシップ」の重要性が注目されています。

フォロワーたちが受け身ではなく能動的、自律的に考え行動する。単にリーダーをサポートするだけでなく、ともに考え意見し、成果を上げていけるようなフォロワーの存在を育てることで、よりチームは強くなります。

介護経験豊富なスタッフたちの協力はあなたには欠かせません。彼らとの信頼を築き、支えてもらいながら、ともに成長していける管理者となってください。

「任せる」決断ができるリーダーに

手を合わせ団結する介護職員

リーダーシップは育むことのできる能力です。

リーダーに求められる決断力はスタッフたちを信頼して、同じ目標に向かってうながし、利用者様へのサービスを「任せる」決断をする能力でもあります。

あなたの他業種での経験は必ず介護業界でも活かすことができます。円滑なコミュニケーションで、介護スタッフたちとチームを組み、ともに理想の施設をつくっていきましょう。介護の世界では先輩にあたるスタッフたちの力を借りながら、あなたなりのリーダー像で、介護の世界に新しい風を吹き込んでください!