施設管理者に必要なマネジメント力~運営・収支・行政~

今回は、介護施設管理者に求められるマネジメント力「運営管理」「収支管理」「行政管理」の3つをご紹介します。

企業の経営資源としてよく知られているのは「ヒト・モノ・カネ・情報」。

介護業界で言えば、「ヒト」であるスタッフたちが「モノ」としてのサービスを提供し、「カネ」を生みだしていく。

時勢にあわせて見直されていく介護にまつわる法令や基準、利用者様のニーズを把握し最適なサービスを行うために市場の動向を知ることが「情報」にあたります。

経営資源をどのように蓄え、活かしていくのか。ビジネスに対する考え方は、介護業界も他の業界も同じです。今回取り上げる3つの管理能力は、あなたがこれまで経験してきた職業で求められてきた能力と重なるところが多いはず。

「自分のこれまでの経験は介護の世界で活かせるのだろうか?」そんな不安にお答えします。

まずは、介護施設の収入の仕組みを理解していただき、続けて各マネジメントの内容をご紹介していきます。

知っておきたい「介護報酬」のこと

まずは、介護施設がどのように経営されているのか、その仕組みをおさらいしておきましょう。

介護施設の主たる収入源は「介護報酬」と呼ばれ、介護保険制度によって市町村に納付された保険料が7割~9割、そして1~3割が利用者様の自己負担で支払われています。

その額は、介護サービスを受けたい利用者様が市町村から受けた要介護・要支援の認定度、施設のサービス提供体制などに応じて決定されます。介護報酬は国の方針に基づき、3年ごとに見直されますので、その都度柔軟な対応が求められます。

運営管理

管理者は施設の運営方針やサービスレベルを策定し、円滑な施設運営を心がける必要があります。

「自分の施設をどのようにしたいのか?」「どのようなサービスを提供できるのか?」

あなたの立てる方針をもとにスタッフを配置し、目標に向かって導いてください。

たとえば工場ならば、生産性を高めることが求められます。

良い製品をスムーズにつくる環境を整え、製品を届け、お客様からのフィードバックを受けながら、より良い製品づくりへ改良を加える。その生産力が工場のチカラです。

介護施設においても、スタッフを動かし、利用者様の声を聞き、状況や問題点を改善して利用者様の笑顔を引き出すサービスを提供いく。人から人へのサービスの生産性を高めていくことが良い環境づくりにつながります。

また、施設の魅力を伝え、新たな利用者様や新規スタッフの獲得に向けた広報・営業活動を行うことも運営管理のひとつ。

広報誌やホームページで施設の理念や活動状況を発信し、入居や利用を考えている方やそのご家族の不安を取り除くことが大切です。まずは施設の存在を知っていただき、実際に足を運んでいただく見学会につなげましょう。

サービスや施設のPRという意味では、一般的な営業職と同じ。あなたが他業種で磨いた営業力や視点で、介護業界に新たな風を吹き込んでください。

多くの利用者様やご家族は、施設に足を踏み入れたときの雰囲気、第一印象を重要視されます。常に、利用者様やスタッフの笑顔があふれるような環境づくりを目指しましょう。そして、あなたは施設の「顔」として、しっかり施設の魅力をアピールしてください。

収支管理

施設を健全に運営していくにあたって、利益を確保し、適切に収支管理を行うことが求められます。

利用者様との契約、保険請求、各種経費の管理、収入となる介護報酬と居住費や食費、日用品に対する費用を計算し、人件費などの支出をコントロールしながらバランスの取れた経営状態を保ちましょう。

介護施設の支出として最も大きいのはスタッフの人件費。適切なサービスを行うためにスタッフの人数と配置を見極めることも大切です。あなたの目指す施設にふさわしい能力を持ったスタッフを適材適所に配置してください。

請求や財務、スタッフの給与事務などの経理業務は、業界が違っても共通する点が多く、あなたの経験を活かせるかもしれません。

利用者様の満足度にこだわったサービスを心がけ、「お金をいただけるサービスとは何か?」を常に考える管理者となってください。

行政管理

介護施設には、介護保険法により法令遵守等の業務管理体制の整備が義務付けられています。行政機関への届け出を行い、行政側に施設の状況を知ってもらわねばなりません。また、施設の運営規定が変更される場合には、10日以内に変更手続きを申し出る必要もあります。

行政からの指定を受けて運営し、介護報酬を主たる収入源とする介護施設にとって、行政側と良好な関係を保つためにも、行政管理は欠かせないものです。

行政機関は定期的に施設を訪れ、法令遵守がなされているか、届け出に基づいた正しいサービス提供が実施されているかを確認する「実地指導」を行います。

仮に、実地指導によって不正や法令違反が発覚し、行政処分が行われた場合、指定取り消しや効力停止処分など施設閉鎖につながることもあるのです。管理者は法令を理解し、偽りのない内容で介護サービスを提供していきましょう。

5つの管理能力を活かして、より良い管理者になろう


これまで、施設管理者に求められる能力として

そして今回は「運営管理」「収支管理」「行政管理」と、5つのマネジメント能力を見てきました。これから管理者を目指す方にとっては、ハードルが少し高いと感じているかもしれません。

しかし、いずれの能力も介護業界だけの特別なものではありません。

お客様へのサービスを第一に、働き手の力を引き出す環境を整える。そして業務内容の改善を図りながら、健全な経営状態を維持し、利益を確保していく。

管理や指導、事務や営業、交渉などあなたがこれまで経験してきた業界での手腕が活かせる業務が多く存在します。他業種から介護業界へ転職を果たした方々は、それぞれの経験を武器に管理者として活躍しています。

利用者様の生活と健康を預かるという責任の重さは、転職を考えるあなたを少し不安にさせているかもしれません。しかし、その責任の重さを受け入れ、果たしていくことは大きなやりがいを生み、あなたの生きがいにもつながるはずです。

あなたの人生経験を糧に、介護施設管理者として、介護業界のこれからの担い手を目指していきましょう。